Environment
気候変動

気候変動に係るリスク及び収益機会の開示

TCFDへの賛同

当社は気候変動に係るリスク及び収益機会が当社の事業活動や収益等に与える影響について、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の推奨する項目を参照し2023年6月よりホームページ、有価証券報告書での開示を実施しております。さらに統合報告書での開示を加え引き続き関連情報の拡充に努めてまいります。なお、2023年9月に同提言への賛同をいたしました。

ガバナンス

当社では、サステナビリティ経営におけるマテリアリティの一つとして特定した「環境負荷低減に貢献」において、気候変動への対応は重要な経営課題の一つとして認識しております。
ISO14001の活動を推進している全社環境委員会、省エネルギー対策を立案、実施している総務部、リスク管理部、新たな製造工法によるエネルギー使用量低減を検討している製品事業部、技術本部等と事務局のサステナビリティ連絡会(事務局)が適宜連携しながら具体的施策に落とし込み、サステナビリティ推進担当役員を通じ、経営会議または取締役会に上程、立案し、意思決定を行っております。

※IR・ガバナンス部、HAMS本部、経営企画部の兼務担当者で構成

戦略

移行リスクと機会

気候変動がもたらす移行リスクと機会について、新車販売将来予測値等を用い、自動車部品市場を中心に2030年の時間軸にて影響を分析しました。

影響項目 種別 リスクと機会の内容、影響 当社の対応策
既存市場/技術 リスク
  • 内燃機関搭載車と同部品需要の低下により、同市場における売上/営業利益は減少する。
  • 内燃機関向け製品の製造施設の減損。
  • ブレーキ配管のEVメーカー・モデルへの営業マーケティング活動の拡大
  • EV車の航続距離延長に資する軽量化部品(=樹脂製品により電費の向上)の拡大
  • サーマル・ソリューション事業(BEV、FCEV等非内燃機関搭載車向け)の拡大
機会
  • BEVやFCEV等の非内燃機関搭載車の需要が拡大し、当該市場に適用される新製品開発、営業マーケティング活動により売上/営業利益が増加する。
新市場/技術 機会
  • 非車載、非自動車分野における脱炭素、省エネ製品、省エネソリューションへの需要拡大に対するビジネスチャンスの拡大。
  • 次世代コア事業の拡大 プラコ(出資先)等の地域貢献・環境負荷低減に貢献する先進的なテクノロジーを持つスタートアップ企業との協働熱電発電素子や水素生成貯蔵などの研究開発型事業の加速・拡大
  • サーマル・ソリューション事業の拡大(DC:*1、HPC:*2他)
既存市場/技術/評判 リスク
  • 環境負荷の大きい製品の不買。
  • 発注条件が脱炭素製品となり条件未達で失注となる。
  • 投資家のダイベストメント(株価及び各種指標に対する下落圧力)。
  • 植物由来樹脂の利用拡大
  • 造管事業での省エネ法への投資
  • 製品のライフサイクルアセスメントでのCO2排出量削減施策の検討
  • IR(事業ポートフォリオ入替戦略や上記環境負荷低減取組等の開示)
法規制/脱炭素 リスク
  • カーボンプライシング制度導入による収益悪化 当社の2022年度のCO2排出量全世界実績は73,799t-CO2(Scope1+Scope2)であり、将来の同制度の発効と設定単価、同時点での排出量次第で観察なコスト負担となる。
  • 脱炭素の対策に係る設備投資、代替エネルギー調達等の追加コストの増加。
  • 省エネ工法の導入による電力使用量の削減
  • 再生可能エネルギー由来電力の利用増加を検討、推進
  • 事業継続計画対策も踏まえた太陽光発電の導入検討
機会
  • 脱炭素に対応する設備投資を行うことによる省エネ効果。
  • 将来における炭素税等の負担回避によるコスト低減。
  • 設備及び省エネ工法等への投資による中長期的な効果としての電力使用量の削減や低コストなエネルギーへの転換等によるランニングコストの低下
  • 脱炭素等に適応した設備等を含む体制構築

*1:Data Center
*2:High Performance Computing

物理的リスク

気候変動がもたらす物理的リスクについて、2030年の時間軸において分析し、重要な影響を与えるものを特定しました。

影響項目 リスク、影響 当社の対応策
自然災害(熱波、寒波)
【急性】
  • 台風、大雪等により工場の操業が短期的に停止する。
  • 短期的にサプライチェーンが寸断される。
  • 事業継続計画規定の整備により、優先事業の継続性を向上する。
  • 資産の保全、事業中断による機会損失をカバーするため損害保険によるリスクヘッジを行っている。
  • エネルギーの消費低減化を推進する。
気温上昇
【慢性】
  • 気温上昇による冷房エネルギー(電力等)増加に伴いCO₂排出量が増加する。
  • 電力使用制限により工場の操業が停止する。

リスク管理

当社は、予測不可能なこの時代においてあらゆるリスクの顕在化に対応できるよう、リスクマネジメント推進体制を強化しています。
2021年1月にリスクマネジメント専門の組織「BCP推進Team」を設立し、主に災害時の減災や被害拡大防止を目的とした初動プロセスの確立および防災設備の充実に注力してきました。2022年度より同Teamを「BCP推進室」へと格上げし、2023年度からは「リスク管理部」として、災害を含めた全てのリスクについて、当社グループ全社を対象としたリスク低減ま
たは移転の取組みを進めています。
サステナビリティに関わるリスクの把握、評価、対策もリスク管理部他の関係部署、全社環境委員会の推進するISO14001等を通じ取り組んでおり、気候変動に関わるリスクと機会も特定しております。
また、顕在・潜在リスクの特定および対策に関わる資源投入のため、当社グループ全社を適用範囲とする事業継続計画規程の整備を進めています。今後はBCMS(事業継続マネジメントシステム)の認証取得も視野に入れ、リスクマネジメント推進体制をさらに強化していきます。

指標と目標

当社は日本政府の掲げる2050年のカーボンニュートラル実現などの動きを踏まえ、省エネ対応、再生エネルギーの利用、イノベーションの推進を通じ、段階的で具体的なCO₂削減に取り組み、地域社会の一員としての責任を果たしていく考えです。
重要課題とする製品のライフサイクルを通じてのCO₂排出量を減らすために、Scope1、Scope2はもとより、Scope3においてはサプライチェーンの取引先との協力関係を通じて目標の設定と実現を図ってまいります。

現状と今後の取組み

種別 2022年度実績 削減に向けた取組
全世界 国内
Scope1 11,810 t-CO₂ 2,779 t-CO₂
  • 2002年3月の国内でのISO14001認証取得以降、国内外での事業活動におけるエネルギー消費低減活動に努めており、今後も継続していきます
  • 欧州子会社Geigerでは2022年にグリーンエネルギー導入により前年比47%のCO₂排出量削減(△4,378t-CO₂)を実現しています
  • 三桜無線では2022年に太陽光発電を導入、前年比で22%の削減(△1,334t-CO₂)を実現しています
  • 三桜タイでは2019年に太陽光発電を導入、前年比で11%の削減(△359t-CO₂)を実現しています
  • 国内では生産効率の高い造営工法の新設備の導入により電力等エネルギー使用量を削減、2024年より△1,650t-CO₂の削減を見込みます
  • 電気代削減にも寄与するオンサイト/オフサイトPPA(太陽光発電)の国内拠点への導入計画を策定し、推進します
Scope2 61,989 t-CO₂ 12,206 t-CO₂

*【参考値】Scope3 カテゴリ1の日本国内の実績は2022年度で77,720t-CO₂です(2021年度実績73,510t-CO₂)。

三桜タイの太陽光発電

ページトップへ戻る